工業用炭のこと
金属の精錬・鋳造・鍛造・圧延・整形に炭を使用することは、すでに原始社会から始まっていて、近世に出現を見たわけではないが,近世におけるそのようは質量ともに広がってきた。金・銀・銅・鉄・錫・鉛の産出が増えるにつれて各鉱山では炭の需要が著しくなり、別子銅山、山陰砂鉄山、佐渡金山など、それぞれ近辺に産する炭を使って大規模な精錬を行った。
炭が各種の工業方面に最適の燃料として果たす役割はいよいよ大きくなった。南部・佐野・川口などの鋳物工業が栄えたのには炭の集荷の便利であったことが理由の一つとなっている。
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漆器の製造でも、燃料として,また研磨剤として炭を使っています。
ビイドロ細工と呼ばれたガラス工業においても,燃料は炭であった。
窯業でも、特殊な磁器は鞘に入れて炭焼をしています。
火薬にも炭粉が使われて、美しい花火ができます。 |
炭と金属工業:
日本文化史の上に重要な存在意義を持つ炭は、各種の用途の中においても、その熱源としての用途が最も広く、かつ長かった。その熱度の持続性と無煙性は、熔解や酸化に平均した温度の持続を要するものや、コールタールなど炭化物の窯内での混入を嫌うものに使用された。
金属の精錬や熔解、陶器の焼成、ガラスの熔解、漆膠などの熔解や同温度の持続、皮革の鞣化、鍍金や鍛金などは、炭を熱源として使用する工業用用途であって、暖房(採暖)や調理用とともに炭の大きい効用の一つである。
金属がわが国に入ってきたのは、少なくとも紀元前数世紀のころであり、それは漢民族の青銅と東北アジア民族の鉄とがほとんど同時であって、いずれも朝鮮半島を経由して伝わってきた。ただし銅のみは、七世紀ごろまでわが国にその原鉱を発見するに至らなかったので、それまでは銅製品や銅材を輸入して、もっぱらその際加工のみが行われていた。中国では古くすでに殷周の世に、銅に錫を加えて青銅を作っていたが、わが国にも青銅製品がまず入り、それをそのまま使用するか、あるいは再加工してわが国人の好みのものを作った。そのわが国製の青銅製品は、中国のそれに比べて著しく錫分が少ないのは、あるいは青銅製品のほかに純銅材も入り、わが国で混ぜられたためかと思われる。
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